犬がうるさいと通報されたときには、その原因を見据えて、適切な対策をする必要があります。
ご近所関係に影響するため、どのように対応していくべきなのか、解説していきましょう。
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犬がうるさいと通報されたらどうなる?法律と規制をチェック!
万が一、愛犬がうるさいと通報された場合どうなるのか、まずは法律と規制をチェックしていきます。
通報された際の感情的な動揺や焦りでパニックになるかもしれませんが、まずは落ち着いて情報を整理し、冷静に対応するのが大切です。
遵守すべき法律・規制を理解して、通報された時の基本的な対応策や、将来的に同様のトラブルを防げるようにしておきましょう。
警察・保健所・市役所・大家の介入がある
愛犬がうるさいと通報された先によって、以下のように対応が異なるため確認してみてください。
警察
警察は民事不介入により過度な介入をしないため、基本的には巡回や事実確認の訪問だけで、ことなきを得る可能性が高いです。
ただし動物虐待や迷惑防止・騒音防止条例に違反する場合は、逮捕または罰則を課せられる可能性があると念頭に置いておきましょう。
保健所
保健所は公共の健康や安全を守る目的で動物の飼い方に関する苦情を受け付けています。
犬が無駄に吠え続ける、放し飼いが続いているなどの通報があった場合、保健所は事実確認の訪問をした上で、必要に応じて飼い主へ指導が可能です。
自治体、市役所
市役所のような自治体は、近所トラブルに対応する課を設置しており、動物愛護管理法9条に沿って、飼い主への指導が可能です。
(地方公共団体の措置)
第九条 地方公共団体は、動物の健康及び安全を保持するとともに、動物が人に迷惑を及ぼすことのないようにするため、条例で定めるところにより、動物の飼養及び保管について動物の所有者又は占有者に対する指導をすること、多数の動物の飼養及び保管に係る届出をさせることその他の必要な措置を講ずることができる。
引用先:動物の愛護及び管理に関する法律
マンション、アパートの
管理会社または大家
マンション、アパートの管理会社または大家への通報があった場合は、回覧板や張り紙など、匿名の手紙で注意喚起されるのが一般的です。
ご近所トラブルを招かぬうちに、この段階で対応しておけば、大ごとになる可能性は低いと考えられます。
動物愛護センター
飼い主が特定できている場合、動物愛護センターが自宅訪問をして、犬の鳴き声で迷惑している事実を伝え、飼い方や指導などの注意喚起をします。
弁護士
弁護士が介入する場合、騒音問題による裁判を見据えた可能性が高いです。
通報した人の状況によっては損害賠償や慰謝料を求められる可能性があります。
裁判に発展した場合、治療費、薬代、交通費のほか、録音機器購入費、慰謝料25万円、弁護士費用3万円が認定された事例が報告されています。
愛犬がうるさいと通報された先によっては、法令違反による罰則や、裁判に発展する可能性があるため、それぞれのケースで対応してみて下さい。
地域の騒音条例に違反する場合は罰則がある
犬がうるさいと通報されたら、保健所の介入や地域の騒音条例という法的側面が絡んできます。
無駄吠えは動物愛護管理法に該当しますが、法的強制力が弱い努力義務として定められているため、違反したからといって逮捕されることはありません。
(動物の所有者又は占有者の責務等)
第七条 動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者として動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。
引用先:動物の愛護及び管理に関する法律
ただし民法718条1項や各自治体の定める迷惑防止・騒音防止条例に違反している場合は、罰則が課せられると念頭に置いておきましょう。
(動物の占有者等の責任)
第七百十八条 動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
引用先:民法718条1項
迷惑防止・騒音防止条例については、各自治体によって異なるため、お住まいの地域で定められている内容を確認してみてください。
犬がうるさいと通報された後は?シーン別に対処方法を紹介
犬がうるさいと通報された後は、すみやかに現状を改善するための対処が必要です。
そこで犬がうるさいと通報されたシーン別に、対処方法を紹介していきます。
夜中や早朝に犬がうるさい場合の対処法
夜中や早朝に犬がうるさい場合、以下5つの理由に応じた対処方法が必要です。
分離不安症
分離不安症がある場合、飼い主が姿を見せないストレスから、長時間にわたって吠え続ける問題行動を起こす傾向があります。
突然ひとりの時間を増やすのではなく、数分ごとから初めて徐々に留守番を慣れさせていきましょう。
退屈させないために知育玩具やガムなど、ひとり遊びのできるアイテムを取り入れ、適度な距離感で生活させるよう対策していきます。
外から聞こえる音への警戒
早朝になると、新聞配達をするバイクの音や車の走行音など、外の音が聞こえ始めるため、警戒心が煽られて、うるさく吠える犬も少なくありません。
ケージの上から毛布をかけて、外の音や気配を察知しにくくしましょう。
静かな音楽や白色雑音を流すなどして、外の音を遮断するのも方法のひとつです。
ご飯やトイレなどの欲求吠え
お腹が空いてご飯が欲しかったり、朝のトイレを片付けて欲しいなど、欲求吠えをする犬もいます。
生理的欲求を我慢させると、体に悪影響を与えるため、寝る前のトイレやご飯の回数を調整して解決しましょう。
運動不足
運動不足でエネルギーを持て余している場合、夜に寝ないで活発になる犬がいます。
多くの場合は昼間や寝る前にしっかり散歩をさせて、エネルギー消費させておくと解決しやすいです。
退屈でケージから出たい
クレートやケージで過ごし慣れていない犬の場合、出たい一心でガチャガチャと音を立てたり、飼い主を呼ぶように吠える場合があります。
吠えたら出してもらえると学習するのを防ぐため、欲求吠えに応じないのは基本ですが、犬がうるさいと通報された後では対策が必要です。
クレートやケージが安心して過ごせる場所だと理解させるために、クレートトレーニングをさせましょう。
閉じ込められたと印象を与えないために、根気強く対応していく必要があります。
痴呆や体調不良による異常行動
痴呆や体調不良な、疾患による異常行動で犬がうるさい場合は、速やかに病院受診をさせましょう。
獣医の指示に従って、行動療法・食事療法・薬物療法・介護など適切な対処や治療を進めていきます。
通行人やインターホンの音で犬がうるさい場合の対処法
通行人やインターホンの音で犬がうるさい場合、性格に合わせて対処してみましょう。
警戒心が強い犬
警戒心やナワバリ意識の強い犬の場合、他人を追い払う目的で吠えるケースが多いです。
落ち着かせるためにインターホンがなったらハウスに入れたり、安心できると教えてあげて、慣れさせるよう対処していきます。
興奮しやすい犬
誰かが来て嬉しい気持ちや遊びたい目的で、他人を呼ぶために吠えるケースがあります。
吠えると同時に尻尾を降っている場合は、興奮していると捉えてみてください。
脇腹をツンツンしたり、「おすわり」や「フセ」で気を反らせて、気持ちを落ち着かせると、吠えるのをやめる子が多いです。
構って欲しい犬
インターホンが鳴るたびに吠える愛犬へ声をかける飼い主の行動が、構ってもらえていると勘違いさせている場合があります。
飼い主に構ってほしくて吠えている場合は、通行人やインターホンの音に愛犬が反応しても無視します。
静かにしたタイミングで、愛犬におやつを与えたり、声をかけてあげたり、かまってあげてください。
吠えるよりも静かにしていたほうが飼い主がかまってくれると、学習させてあげましょう。
通行人やインターホンの音で犬がうるさい場合の対処法は、「ハウス」、「おすわり」、「フセ」などのコマンドが効果的ですが、これらはトレーニングで身につくものです。
トレーニングがうまくできなかったり、自信がなかったりする場合は、行動専門医やドッグトレーナーと一緒に取り組んでいくと効果的です。
とはいえ頻繁に教室に通えない人もいますので、隙間時間で取り組めるイヌバーシティの教材を活用してみるのもあり。
やり方だけでなく、過程も踏まえて結果に導いてくれるため、自分の力で愛犬と向き合い、飼い主としての自信がつきます。
しつけ教室に通っても、結局は飼い主と愛犬が問題行動に根気よく向き合っていかなくてはなりません。
イヌバーシティなら今すぐスマホから始められるため、ぜひ覗いてみてください。
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散歩時に犬がうるさい場合の対処法
散歩時に他の犬や動物と遭遇して犬がうるさい場合は、恐怖心や興奮を取り除いてあげる必要があります。
また狩猟犬や牧羊犬の歴史を持つ犬種は、動くものに敏感な習性から、自転車や車に吠えながら追いかける子が多いです。
気持ちを落ち着かせるために、日頃から「座れ」、「待て」、「静か」などの基本コマンドを強化しておくと、散歩時のコントロールに役立ちます。
また信頼関係が築けていない場合、犬が自分をリーダーだと勘違いして、飼い主を守るために吠える場合があります。
飼い主がリーダーであると学習させてから、他の犬とのコミュニケーションを取って、警戒の必要がないと教えてあげましょう。
非日常シーンで犬がうるさい場合の対処法
電車や車に乗るときや、キャンプやホテルの宿泊など、非日常シーンであっても、周囲に迷惑をかけないよう、犬がうるさい場合の対処が必要です。
電車に乗るときには、車内アナウンスやレールが擦れる音を動画で流して、あらかじめ慣れさせておくようにしてみてください。
車に乗る時にも吠える場合は、振動による不安がないようにしっかり身体を固定できる状態にさせてあげます。
キャンプやホテルの宿泊などで吠える場合は、環境の変化による不安や警戒心から吠える場合がほとんどです。
日頃から飼い主がリーダーシップをとって、コマンドにより気持ちをコントロールさせてあげれば、落ち着いた対処が可能になります。
もしも日頃からトレーニングができていない場合は、愛犬の旅行連れを最初から避けておくのも方法のひとつです。
犬がうるさいと通報された後のご近所関係を修復するコツ
犬がうるさいと通報された後の対応次第では、ご近所関係の修復が可能です。
互いに理解と協力が深まるような近所付き合いがあれば、余計なトラブルを招かずに愛犬と快適な生活を過ごしやすくなります。
近隣住民との関係性は、犬を飼う上で非常に大切なため、スムーズに良好な関係を築く上でのコツについて詳しく解説します。
犬うるさいと通報された後のご近所マナー
まずは犬がうるさいと通報された旨を真摯に受け止め、相手の意見に耳を傾けましょう。
ほか近隣住民の意見を参考にして、冷静にクレームの事実確認をします。
問題があると理解できたら、今後は気を付けていく旨を伝えて、相手の怒りや不満を逆撫でしないようにしてください。
協力的な姿勢と今後の具体的な計画や対策を伝えることで、ご近所トラブルの悪化を防ぎ、円滑に関係を修復しやすくなります。
また挨拶程度に定期的な無駄吠え対策の進捗を伝えると、相手が納得してくれる場合も多いです。
問題が小さなうちに適切に対処し、良好な関係を維持することを心がけましょう。
積極的なコミュニケーションとお詫びの仕方
愛犬のことを理解してもらうためにも、ご近所とのコミュニケーションは欠かせません。
散歩時に挨拶をして、時には軽い談笑をするなど、フレンドリーな関係を築いておくと、万が一トラブルが起きた際にスムーズなコミュニケーションがとりやすくなります。
同じ過ちを繰り返さない意思を相手に伝え、何に対して謝っているのか理解している姿勢を見せます。
万が一、トラブルがエスカレートするのであれば、法的な対応も検討していく必要があります。
犬がうるさいと通報された原因はなに?
犬がうるさいと通報された原因のほとんどは、吠え声が日常の静寂を切り裂くからです。
飼い主や犬好きであれば、何か訴えているのではないかと吠え声に耳を傾けられますが、一般人にしてみると、残念ながら騒音としか感じられない現実があります。
とくに夜や早朝など、静かな時間帯に吠え声が響くと不快感が増しやすいため、飼い主は愛犬の声の裏にある原因を理解して、正しく対処する必要があります。
近隣の人から犬がうるさいと通報された原因になりやすい吠え声の裏側について、具体的に紹介していきましょう。
犬がうるさいと通報された原因1:犬が吠える心理への理解不足
犬がうるさいと通報された原因のひとつとして、なぜ吠えているのか心理を理解できていない場合があります。
言葉を持たない犬は、以下のような感情や欲求を吠え声で表現しているため、意味を汲み取る参考にしてみてください。
- 警戒や警告をしている
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犬にはナワバリ意識があるため、来客や外からの音、他の犬や動物が近づいたときに警戒や警告として吠える場合があります。
- 求愛や繁殖行動
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生後数ヶ月を経た未去勢のオスは、繁殖期になると気持ちの表現をするために吠える場合があります。
- 遊びで興奮している
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お散歩の時間が近づいて興奮したときや、遊びたいときなど、喜びや期待を表現するために吠える場合があります。
- 孤独や不安を感じている
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留守番中で飼い主がいない時の犬は、孤独や不安を感じやすいです。
寂しさい気持ちを吠えて表現する場合が多く、しばしば問題行動として扱われます。
- 痛みや不快感がある
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体調が悪いときや、痛みを感じているときは、不安な気持ちを飼い主へ知らせるために吠えることがあります。
大きく体調の変化が見られる場合は、かかりつけの獣医へ速やかな相談が必要です。
飼い主が愛犬の声に積極的に耳を傾けて、無駄吠えに思える問題行動を減少させていきましょう。
犬がうるさいと通報された原因2:犬種や性格による違い
犬がうるさいと通報された原因には、犬種や性格の違いが関係している可能性もあります。
というのも歴史的な背景や役割を与えられた犬種は、以下のような特定の状況下で吠える傾向が強くなるからです。
- 警備や番犬の役割をもつ犬種
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シェパードやドーベルマンなど、もともと人や家を守る役割を与えられている犬は、警戒心が強いため吠えることで警告をする傾向があります。
- 狩猟犬の歴史をもつ犬種
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ビーグルやダックスフンドなどの狩猟犬は、獲物を見つけて追跡する際に吠える傾向があります。
獲物を追い込むための吠え声は、狩猟犬ならではのコミュニケーション方法です。
- 愛玩犬
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プードルやシーズーなどの愛玩犬は、飼い主との絆が深いため、留守番中の孤独感から吠える場合が多いと知られています。
- 個体差や性格
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犬種だけでなく、個体ごとの性格や過去の経験など、育てられた環境によって吠える頻度や理由に違いがあります。
たとえば虐待を受けた犬は、不安や恐怖を感じやすいため、吠えやすい傾向があります。
- 生後の社会化
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子犬の時期に適切な社会化が行われていなかった場合、未知のものや環境に対して過度に警戒して、吠える原因となりえます。
個体ごとの性格や行動によっても変わりますが、犬種に合わせたしつけが、無駄吠え問題を解決する鍵になります。
犬がうるさいと通報された原因3:環境や生活リズムがもたらす影響
犬がうるさいと通報された原因には、環境や生活リズムがもたらす影響も関係します。
- 都市部の生活
- 新しい環境や変化
- 運動やコミュニケーション不足
- 体調不良
自宅の近くで工事が始まったり、隣家で赤ちゃんの泣く声が聞こえたりなど、都市部の騒音や狭い生活空間は、警戒心を刺激された犬が吠える原因となりやすいです。
引っ越しや家族構成の変化、新しいペットの迎え入れなど、生活環境やリズムの変化は犬にとって大きなストレスとなるため、吠えて発散する傾向があります。
適切な散歩によってエネルギーをうまく発散させてあげましょう。
ただし散歩時間が短かったり、飼い主とのスキンシップが足りなかったりすると、欲求不満や寂しさにより、吠える行動へと現れる場合があります。
不意の吠えや夜中や早朝に吠えるなど、普段とは違う吠えかたをするときには、何かしらの体調不調を訴えている可能性も考えられますので、かかりつけの動物病院に相談した上で対処していきましょう。
犬がうるさいと通報される前にできる対策
肝心なのは、犬がうるさいと通報される前に日頃から対策しておくことです。
とはいえ相手は生き物ですから、犬がうるさいときに対策をしようと努力しても、思うように進まなかったり、信頼関係が築けなかったり、飼い主すら困る状況に陥っていることは珍しくありません。
そこで犬がうるさいと通報される間にできる対策として、活用できるグッズやトレーニング教室をご案内します。
家族として犬が人間社会で平和に日常生活を過ごしていけるよう、できる手段からチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
防音対策
もっとも手軽な手段は、ペット用の防音シェルターです。
あわせて、防音カーテンを利用してみると、より効果的。
アパートやマンションは下の階に住んでいる人へ配慮し、防音マットを利用してみるのも良いですね。
無駄吠え防止グッズ
犬は褒めて伸ばすをベースに吠えずに黙っていると嬉しいことが起きると学習させると良いのですが、うまくいかない場合は超音波グッズを試してみるのも方法のひとつです。
電流や振動を与えるグッズよりもストレスが少なく、外傷もあたえないため、安全に利用できます。
とはいえ超音波で余計に吠えが悪化するケースもあるため、電流や振動のほうが効果的な子もいます。
どうしても犬を黙らせる必要がある場合は、口輪の検討もあり。
個体差がありますので、それぞれの愛犬に合わせた対策グッズを利用してみてください。
まとめ
犬がうるさいと通報されたら、多くは焦ってパニックに陥りますが、冷静に落ち着いて対処しましょう。
犬がうるさいと通報された先によって対応は異なりますが、民法では努力義務で定められているため、今すぐ逮捕されることはありません。
ただし動物虐待や迷惑防止・騒音防止条例に違反する場合は、逮捕または罰則を課せられる可能性があります。
犬がうるさいと通報されたら、直ちに改善策をとりましょう。
この記事では、犬がうるさいシーン別に解決策を提案しましたが、無駄吠えの防止には根気強いトレーニングが必要になります。
すぐになんとかしたい、犬がうるさいと通報される前に対処したい場合は、無駄吠え防止グッズを使ってみるのも方法のひとつです。
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